会長挨拶

会長挨拶

第42回日本骨代謝学会学術集会
会長 高柳 広
(東京大学大学院医学系研究科 免疫学 教授)

Osteonetwork: Plus Ultra
オステオネットワーク、その先へ

骨は、脊椎動物が持つ特有な組織であるにもかかわらず、生体を支持し運動を可能にする機能を中心に捉えられてきました。しかし、骨は単なる運動器の一部ではなく、外界の環境変動やストレスを感受し、免疫系など他の生体系を能動的に制御している事が明らかになりました。古くから研究されてきた内分泌系のみならず、免疫系、神経系、消化器系、呼吸器系、生殖器系などあらゆる生体制御系との相互作用や遠隔臓器への影響まで、オステオネットワーク研究が一世を風靡しました。今、「骨による全身の生体系制御システム」オステオネットワークを解明しようという試みはどこに辿り着いたのでしょうか?そしてこれからどこへ行こうとしているのでしょうか?

 オステオネットワーク研究と並行して、骨を構成する細胞、そしてそれらを制御する因子と細胞間相互作用の研究が大きく発展し、骨粗鬆症に対する多数の治療薬が生まれました。活性型ビタミンD3、エストロゲン受容体調整薬、破骨細胞抑制剤ビスホスホネートが骨量減少に歯止めをかけ、骨芽細胞系細胞の制御系の理解、特に RANKLや Sost, FGF-23など骨細胞が作り出す制御因子の同定が進んだことで、強力に骨量増加を望める抗体製剤やPTH製剤、オステオネットワーク創薬ともいえる抗FGF-23抗体などが実用化されました。多数の選択肢がある中で、既存の薬剤に打ち克つ薬剤を見出すことも容易でない時代が訪れています。骨は運動器の核でありますが、もちろん単独で動くことはできません。軟骨、滑膜、筋肉、腱、靭帯、神経など、骨代謝学会は、骨を超えてその運動器をトータルで扱う運動器科学を内包し発展を遂げつつあります。

 今回、学会のテーマは「Osteonetwork: Plus Ultra〜オステオネットワーク、その先へ」と題して、成熟した骨代謝学と骨粗鬆症治療の枠組みを振り返り、運動器科学とオステオネットワークの先にあるものを議論する契機とすることを提案したいと思います。開催地も、骨代謝学会の歴史で初めてとなる沖縄県とし、完成して間もない「那覇文化芸術劇場 なはーと」を会場としました。従来の考え方や日常を離れ、新たな骨代謝学会の在り方を模索する一助となることを期待しています。プログラム構成も、基礎・臨床だけでなく、企業委員からなるワーキンググループを基に広く意見を取り入れ、これからの骨代謝研究に何が求められているのかを議論することを目指しました。特に、骨代謝学を築いたレジェンドから異分野のトップサイエンティストまで、多数の教育的な講演を設け、若手研究者に Think differentを実践してもらえればと考えています。

 また、OIST(沖縄科学技術大学院大学)と琉球大学に代表される世界トップレベルの沖縄のサイエンスを紹介する特別セッションを企画しました。梅雨明け後の沖縄で、新たな交流と意見交換を楽しみつつ、参加者一人一人が骨代謝学の未来を夢見て頂けるような学会となることを期待しています。

学術集会会長連絡先

東京大学大学院医学系研究科免疫学
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